今野敏著『連写』などを読了

2023年11月18日から30日までの期間に次の本を読み終えた。iPhoneのVoiceOver機能で聴く。

1.久田樹生著/熊本怪談(竹書房、2023年)

2.中野信子著/メタル脳 天才は残酷な音楽を好む(KADOKAWA、2019年)

3.重田園江著/ミシェル・フーコー 近代を裏から読む(2014年)

4.今野敏著/連写 TOKAGE 特殊遊撃捜査隊(朝日新聞出版、2017年)

5.松井研耐著/初心者のためのブログ成功5ステップ(2021年)

6.トーマス・ラッポルト著、赤坂桃子訳/ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望(飛鳥新社、2018年)

7.ダグラス・アダムズ著、安原和見訳/銀河ヒッチハイクガイド(河出書房新社、2005年)

8.松本清張著/神々の乱心 上巻(文藝春秋、2000年)

〈感想、メモ〉

1.久田樹生著/熊本怪談(竹書房、2023年)

怪談の要素もいくつか記憶に残るエピソードがあったのだが(コロナ騒ぎの際にアマビエを商売に利用した人間の話など)、本編冒頭に阿蘇の語源がいくつか紹介されていて、その中の一つにアイヌ語が語源であるとの説が記されており、ブログ執筆者は勉強不足で知らなかったため、印象に残った。

(以下引用)語源はアイヌ語の「アソオマイ(火を吹く山)」と言われる。(引用終わり)

民話や伝承を知ることで怪談もより理解しやすくなる場合があるだろうなと想像した。

2.中野信子著/メタル脳 天才は残酷な音楽を好む(KADOKAWA、2019年)

脳科学者によるメタルについての本。以下、目次から各章の題を引用。「第1章 わたしを救ってくれたメタル」、「第2章 メタルが真の強い「個」を育む」、「第3章 モーツァルトよりメタリカを聴く」、「第4章 メタルは世界の欺瞞を見抜く」。引用終わり。

章のタイトルにあるように、著者自身もメタルのリスナーであり、その出会いやこの音楽ジャンルについて考えるところなど、興味深く読む。

〈関連記事 中野信子と真壁昭夫の対談本『脳のアクセルとブレーキの取扱説明書』(白秋社)を読んだ記録を含む記事〉

真壁昭夫と中野信子との対談本『脳のアクセルとブレーキの取扱説明書』などを読了

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ショウペンハウエルの著作『読書について』などを読了

3.重田園江著/ミシェル・フーコー 近代を裏から読む(2014年)

ミシェル・フーコーの入門書。『監獄の誕生』を軸に開設される。

5部構成。以下、それぞれの部のタイトルを目次から引く。『Ⅰ フーコーの世界へ』(第1章と第2章)、「Ⅱ 身体刑とその批判」(第3章から第5章まで)、「Ⅲ 規律権力」(第6章から第8章まで)、「Ⅳ 近代国家と統治」(第9章から第11章まで)、「Ⅴ 監獄ふたたび」(第12章、第13章、終章)。

Ⅲの中の「第8章 規律はどこから来たのか――フーコーの系譜学」が特に印象に残る。中でも、この章の最後、「ペストの都市」、「パノプティコン」、「黒幕は「国家」なのか?」という三つの部分が興味深かった。

4.今野敏著/連写 TOKAGE 特殊遊撃捜査隊(朝日新聞出版、2017年)

TOKAGEシリーズの第三作。捜査一課特殊犯の上野数馬、白石涼子の訓練の場面から物語が始まる。訓練から帰った彼らは、コンビニ強盗の捜査へ合流するように係長から言われる。そのコンビニ強盗の事件にはバイクが用いられており、世田谷区、港区、渋谷区と連続して発生していた。

このシリーズ第三作も、組織での捜査が描かれている部分が面白く感じられた。

〈関連記事 TOKAGEシリーズを読んだ記録を含む記事〉

今野敏著『TOKAGE』などを読了

今野敏著『天網』などを読了

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『廉恥』(幻冬舎)を読んだ記録を含む記事

『廉恥』などを読了

『豹変』(KADOKAWA)を読んだ記録を含む記事

小島直樹著『小説三井物産(下)』などを読了

〈関連記事 小説の舞台として世田谷が登場する推理小説(他の作家による)を読んだ記録を含む記事〉

笹沢左保の『崩壊の夜』(徳間書店)を読んだ記録を含む記事

『「明治礼賛」の正体』などを読了

〈関連記事 渋谷区で事件が発生する小説(ほかの作家による)を読んだ記録を含む記事〉

吉村達也の『修善寺温泉殺人事件』(勁文社)を読んだ記録を含む記事

今野敏の警察小説『焦眉』などを読了

5.松井研耐著/初心者のためのブログ成功5ステップ(2021年)

Q&Aのパートを興味を持って読んだ。

6.トーマス・ラッポルト著、赤坂桃子訳/ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望(飛鳥新社、2018年)

この本は、「はじめに」において、「(以下引用)ピーター・ティールという多彩な光を放つパーソナリティと、彼が果たしている数多くの役割の全貌を究明しようという初の試み(引用終わり)」と位置付けられている。

再読。今回は以下の3点が印象的だった。(1)2016年の米大統領選において、ティールの著作である『ゼロ・トゥ・・ワン』が「(以下引用)トランプ陣営の「バイブル」(引用終わり)」だったという記述。(2)(以下引用)「ですがアメリカ人の大部分はこの繁栄とは無関係です。ですから人々がバーニー・サンダース〔民主党左派の大統領選候補者〕に投票しても、ドナルド・トランプに投票しても、驚くには当たらないのです。」(引用終わり)というティールの言葉。経済不平等についての文脈において語られたものである。(3)(以下引用)「僕らの時代のリバタリアンの使命、政治からのあらゆる形の逃げ道を見つけることです」(引用終わり)というティールの言葉が収録されている第7章。この章のタイトルは「テクノロジーを権力から解放せよーーティールのリバタリアン思想」である。

〈関連記事 リバタリアンについての記事が含まれる著作を読んだ記録を含む記事〉

リバタリアニズムについての解説も収録される井上智洋の著作『AI時代の新・ベーシックインカム論』(光文社)を読んだ記録及び巻末に収録された副島隆彦との対談の中でリバータリアンについても語られる西森マリーの著作『ディープ・ステイトの真実』(秀和システム)を読んだ記録を含む記事

九鬼周造著『「いき」の構造』などを読了

〈関連記事 ティールの談話が掲載されているアシュリー・バンスの著作(訳は斎藤栄一郎)『イーロン・マスク』(講談社)を読んだ記録を含む記事〉

アシュリー・バンス著『イーロン・マスク』を読了

〈関連記事 『スノウ・クラッシュ』(ニール・スティーブンスン著、日暮雅通訳、早川書房)を読んだ記録を含む記事(『ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望』では、『スノウ・クラッシュ』について熱心に語るティールの友人リード・ホフマン、『スノウ・クラッシュ』に感化されたセルゲイ・ブリンについて触れられている)〉

上巻を読んだ記録を含む記事

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ著『かもめ』などを読了

下巻を読んだ記録を含む記事

リュドミラ・ウリツカヤ著『ソーネチカ』などを読了

7.ダグラス・アダムズ著、安原和見訳/銀河ヒッチハイクガイド(河出書房新社、2005年)

原題は“THE HITCHHIKER’S GUIDE TO THE GALAXY”。SF小説。物語は主人公アーサー・デントが役所のブルドーザーから家を破壊されるのを阻止しようとしている場面から始まる。ギルフォードの出身だと偽っているが実はペテルギウス近くの惑星の出身であるアーサーの友人・フォード・プリ―フェクトがこの騒ぎの中主人公を訪ねてくる。

再読。前回同様、今回も憂鬱を抱えるロボットのマーヴィンの存在が印象に残る。

巻末の著者・訳者紹介によると、著者ダグラス・アダムス(Douglas Adams、1952~2001)は英国ケンブリッジ生まれ、訳者安原和見は鹿児島県生まれ。

〈関連記事 『銀河ヒッチハイク・ガイド』をその巻末の「効能付きブックリスト(参考図書内氷原)」の中に含む『セーヌ川の書店主』(ニーナ・ゲオルゲ著、遠山明子訳、集英社)を読んだ記録を含む記事〉

ニーナ・ゲオルゲ著、遠山明子訳『セーヌ川の書店主』などを読了

〈参考図書〉

ニーナ・ゲオルゲ著、遠山明子訳/セーヌ川の書店主(集英社、2019年)

〈関連記事 著者ダグラス・アダムズのエピソードも紹介されるケン・シーガルの著作(林信行監修、高橋則明訳)『Think Simple』(NHK出版)を読んだ記録を含む記事〉

ケン・シーガル著『Think Simple』などを読了

8.松本清張著/神々の乱心 上巻(文藝春秋、2000年)

未完の長編小説の上巻。

この小説の最初の章は「月と星の霊紋」と題されている。この章の最初の文を引用する。「(以下引用)東部鉄道東上線は、東京市池袋から出て埼玉県川越市を経て、秩父に近い寄居町にいたっていた。(引用終わり)」。その線上の駅で、特別高等警察課第一係長頸部がある女性に話しかけ、駅近くの警察署でその女性に尋問するという出来事が描かれる。昭和8年10月のことだと語られる。前年には井上準之助が射殺された事件があった(井上という名前は書かれていないが)という、そのような時期である。

再読。上記のような昭和初期の様子が印象的な物語である。原内閣時の阿片事件や、田中正造の言論などの足尾銅山鉱毒事件に関する記述などが今回記憶に残る。

〈関連記事 田中正造についての記述のある早乙女貢の著作『怒涛のごとく』(原書房)を読んだ記録を含む記事〉

西丸震哉著『食物崩壊』などを読了

(以上、敬称略)

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