アシモフの小説『宇宙の小石』などを読了

令和5年6月16日から22日までの期間に次の本を読み終えた。

1.アイザック・アシモフ著、高橋豊訳/宇宙の小石(グーテンベルク21、2012年)

2.スティーヴン・キング著、永井淳訳/呪われた町 上巻(文芸春秋、2020年)

3.スティーヴン・キング著、永井淳訳/呪われた町 下巻(文芸春秋、2020年)

4.梅棹忠夫著/知的生産の技術(岩波書店、1969年)

5.橘玲著/残酷な世界で生き延びるたった一つの方法(幻冬舎、2015年)

6.船井幸雄著/百匹目の猿(サンマーク出版、1996年)

7.森秋子著/脱力系ミニマリスト生活(KADOKAWA、2017年)

8.矢部良明著/古田織部の正体(KADOKAWA、2014年)

9.マイ・シューヴァル、ベール・ヴァール著、柳沢由美子訳/刑事マルティン・ベック ロセアンナ(KADOKAWA、2014年)

〈感想、メモ〉

1.アイザック・アシモフ著、高橋豊訳/宇宙の小石(グーテンベルク21、2012年)

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長編SF小説。設定(物語の舞台、登場人物など)、ストーリーともにとても面白い。解説は牧真司。

以下、物語の最初の一文を引用する。「(以下引用)ジョゼフ・シュヴァルツがなじんできたこの地球上から、永遠に姿を消すわずか二分前まで、彼はブラウニングの詩をくちずさみながら、シカゴ郊外の快適な通りをぶらぶら歩いていたのだった。(引用終わり)」シュヴァルツは元仕立て屋の職人であり、この物語冒頭の時点では隠居である。印象的な始まり方である。

2.スティーヴン・キング著、永井淳訳/呪われた町 上巻(文芸春秋、2020年)

3.スティーヴン・キング著、永井淳訳/呪われた町 下巻(文芸春秋、2020年)

『呪われた町』は長編ホラー小説。原題は‘Salem’s Lot’。下巻に収録される風間賢二の解説によると1975年の作品であり、『ザ・スタンド』(’78)と『シャイニング』(’77)とこの『呪われた町』は初期キングの傑作3Sと称されることがあるようだ(いずれも原題の頭文字がS)。

本来は『屍鬼』(小野不由美著、新潮社)を読む前に本作を読むべきだったのかもしれないが、結果としてはどちらも興味深く読んだ。

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小野不由美著『屍鬼(上)』などを読了

松田卓也著『2045年問題』の再読など

あらすじ。作家ベンはかつて住んでいたロットを訪れる。新作を執筆するための滞在。町にはかつてある凶事の起きた建物があり、ベンはそこに滞在してみるつもりで問い合わせると、すでにそこにはヨーロッパ人が入る予定になっているとのことであった。

町では、良くない現象が起り始める。そしてある日、一人の子供の行方が分からなくなる。起こり続ける奇怪で陰惨な出来事の背後には何が存在するのか。以上、あらすじ。

ブログ執筆者はアメリカのホラーを怖いと感じる感覚があまり育っていないようなので(やはり文化をもっと学ぶ必要があるのだと思う)、この『呪われた町』でも、面白く感じた部分は多彩な登場人物の描写であった。

4.梅棹忠夫著/知的生産の技術(岩波書店、1969年)

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情報を扱う技術に関する本。カードを用いた情報の記録や管理について述べられる。

以前読んだ『情報の「捨て方」 知的生産、私の方法』(成毛眞著、KADOKAWA)において、「今も使える!過去に流行った情報術」というコラムの中で、本書『知的生産の技術』で解説される「京大型カード」が紹介されていた。

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成毛眞著『情報の「捨て方」』などを読了

このほか、柴田英寿の著作『サラリーマンのための「会社の外」で稼ぐ術』(朝日新聞出版、2010年)においてもこの『知的生産の技術』が紹介されていたのが記憶に新しい。『サラリーマンのための「会社の外」で稼ぐ術』では、頭を鍛えるのに役立った三冊のうちの一冊として挙げられていた。

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松本光正著『やっぱり高血圧はほっとくのが一番』などを読了

また、ほかにも、本書はカードによる情報の管理の部分も興味深かったが、後半の日本語のローマ字表記を推進する運動について書かれた部分がとても面白かった。ローマ字表記だけでなく、カタカナ、ひらがな表記も手紙などで実践していたようだ。日本語を分かち書きする、といったことは点字では常に行っていることなので、熱心なかな表記実践者たちの話は興味深いものであった。

5.橘玲著/残酷な世界で生き延びるたった一つの方法(幻冬舎、2015年)

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以下の四点は、この本の中で興味深いと感じた話題である。(1)勝間和代・香山リカの間で起こった自己啓発、自助努力に関する議論について、(2)フロイトの理論が正しいか否か、ということについて(著者橘玲の体験談も交えて語られる)、(3)リナックスの開発に携わる人たちについて、(4)赤尾便と著者との交流に関するエピソード。

多くの研究や著者自身の実体験などから本書のタイトル『残酷な世界で生き延びるたった一つの方法』が何かという結論が導き出される。

6.船井幸雄著/百匹目の猿(サンマーク出版、1996年)

「前書き」において、ライアル・ワトソンが『生命潮流』(工作舎)の中で「百匹目の猿現象」と名付けたニホンザルの芋洗い行動の伝播現象について解説される。宮崎県串間市幸島で観察された芋洗い行動が後に大分県の高崎山でも観察されたという現象である。

著者船井幸雄は、この「百匹目の猿現象」には長年確信を持てずにいたとのことである。しかし、著者は「シェルドレイクの仮説」の議論により、「百匹目の猿現象」が必ず起こるものだとの確信を持ったという。

本書では様々な研究者や著作が紹介されており、勉強になった。

7.森秋子著/脱力系ミニマリスト生活(KADOKAWA、2017年)

人気ブロガーによるライフスタイルに関する本。片付け、金銭管理、人間関係、食事など、著者自身の経験をベースに率直に語られていて面白い。

8.矢部良明著/古田織部の正体(KADOKAWA、2014年)

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「慶長茶の湯の申し子(本文中の表現)」古田織部(1544~1615)の伝記。第3章の中の「織部と伊賀焼」が面白かった。

9.マイ・シューヴァル、ベール・ヴァール著、柳沢由美子訳/刑事マルティン・ベック ロセアンナ(KADOKAWA、2014年)

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1960年代のスウェーデンを舞台とした推理小説。

スウェーデンのボーレンスフルトの閘門で女性の死体が発見される。解剖により死因として他殺の可能性が認められる。マルティン・ベックら警察は彼女が誰なのかという段階から捜査を開始する。

様々な刑事が登場する。主人公マルティン・ベックの家庭の雰囲気はあまり暖かではない。彼が描写されるとき、しばしば彼の胃の具合が悪いことが語られる。

再読。今回は主人公の同僚のコルベリの活躍が印象的だった。

(敬称略)

(『呪われた町』の上・下巻、『百匹目の猿』、『脱力系ミニマリスト生活』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

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