ミラン・クンデラ著『無意味の祝祭』などを読了

2022年2月3日から5日までの期間に次の本を読み終えた。

1.浜田文人著/禁忌 taboo(幻冬舎、2015年)

2.見城徹、藤田晋著/憂鬱でなければ、仕事じゃない(講談社、2011年)

3.東野圭吾著/予知夢(文藝春秋、2000年)

4.ミラン・クンデラ著、西永良成訳/無意味の祝祭(河出書房新社、2015年)

5.笠井奈津子著/成功する人は生姜焼き定食が好きだ(晋遊舎、2012年)

6.千宗屋著/茶 利休と今をつなぐ(新潮社、2010年)

〈感想、メモ〉

1.浜田文人著/禁忌 taboo(幻冬舎、2015年)

主に東京が舞台となる小説。小説冒頭の場面は新橋。時代はリーマンショック、東日本震災の後。元警官、現在は人材派遣会社の調査員である男、星村真一が主人公。

巻末の著者紹介によると、著者浜田 文人(HamadaFumihito)は1949年生まれ、高知県出身とのこと。

2.見城徹、藤田晋著/憂鬱でなければ、仕事じゃない(講談社、2011年)

幻冬舎の見城徹の仕事論にサイバーエージェントの藤田晋が解説を加えるというもの。

第4章では見城徹がフランスのグラース(Grasse。コートダジュールの内陸、香水で知られる)で調香師から聴いた話が面白かった。良いにおいを求める競争は極まっており、それを一滴加えることにより、いい匂いを「今までにない極上の香り(本文中表現)」にすることのできる「悪臭」を争って探しているとの談話であった。「毒」の効能について語られるパートで紹介されるエピソードである。香水のエピソードとして単純に面白いと感じたしまた、見城徹が子の談話を自らの仕事に引き寄せて考えを述べているように、ある種の普遍性も持っているように思えた。

第5章の最初のパートに見城徹がそれまで本を書いたことのなかった松任谷由実の自伝『ルージュの伝言』を世に出し、結果その書籍がベストセラーとなったというエピソードが書かれている。こういったエピソードではいつも見城徹のエネルギーに圧倒される。作家やミュージシャンと人間関係を結ぶにあたり、相手の作家、ミュージシャンの作品及びコンサートに真正面から取り組む姿勢というのは、読んでいていつも驚く。

巻末の著者紹介によると、著者見城徹は1950年静岡生まれ。もう一人の著者、藤田晋は1973年福井県生まれ。

3.東野圭吾著/予知夢(文藝春秋、2000年)

推理小説、短編5話収録。物理学者湯川のシリーズ2作目。TVドラマ「ガリレオ」の原作とのこと。再読。

四つ目の短編、「絞殺る」の何か抑制されたような作品のトーンが面白く感じられた。

4.ミラン・クンデラ著、西永良成訳/無意味の祝祭(河出書房新社、2015年)

7部構成の物語。リュクサンブール公園などが舞台となる。第1部は6月のパリで主人公の一人であるアランが散歩する場面から始まる。彼のほかの主要な登場人物は、ラモン、ダルドロ、シャルル、カリバンなど。

タイトルが『無意味の祝祭』であるが、第一部では、ある登場人物が嘘をついた当の本人に「無意味」と思われるような嘘をつき、また、ほかのある登場人物が「無意味」の価値を論じる。

第二部のスターリン、フルシチョフ、カリーニンに関する会話が印象的だった。

また、リュクサンブール公園のマリー・ド・メディシスの像が男によって一部損壊するシーンがあるのだが、この場面は少し驚いた。ブログ執筆者の知識レベルでは驚くという程度の反応しかできないが、このシーンの含むものを読み取れる人はまた違ったように感じるのだろうとも考えた。

著者ミラン・クンデラ(Milan Kundera)はチェコスロヴァキア生まれ。1975年からフランスに住む。

訳者西永良成は1944年富山県の生まれ。

5.笠井奈津子著/成功する人は生姜焼き定食が好きだ(晋遊舎、2012年)

著者は食事カウンセラー。8000通り以上のクライアントの食事記録を通じて得られた知見が語られる。

著者が推奨する食品の中で印象に残ったのは海苔。第3章に登場する。ストレス・コーピングの目的でビタミンCを摂ることが薦められているのだが、その中で海苔が登場している。長期保存可能という利点もあると述べられており、なるほどと思った。

6.千宗屋著/茶 利休と今をつなぐ(新潮社、2010年)

著者は茶人である。この著作では茶の歴史などが語られる。第8章には著者と内田樹との対談が収録される。

第2章では茶の湯の歴史が語られる。この章の「明治政財界での大ブレイク」では、井上馨、原富太郎、藤田伝三郎、益田孝といった人たちが茶の湯の世界に入ったことが書かれている。そのための道具が大名の所蔵や寺から流出したものだという事が書かれており、これは印象的だった。

(敬称略)

(上の6冊はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

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