玄侑宗久著『龍の棲む家』などを読了

令和5年5月10日から16日までの期間に次の本を読み終えた。5と6はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。

1.玄侑宗久著/龍の棲む家(文芸春秋、2010年)

2.陳舜臣著/太平天国 1(講談社、1990年)

3.松本佐保著/バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘(中央公論新社、2013年)

4.仙台文学館監修/ふるさと文学さんぽ 宮城(大和書房、2012年)

5.ジョルジュ・シムノン著、長島良三訳/メグレと老外交官の死(グーテンベルク21、2015年)

6.五代ゆう著/グイン・サーガ第133巻 魔聖の迷宮(早川書房、2014年)

7.ジョン・ル・カレ著、加賀山卓朗訳/ナイロビの蜂 上巻(集英社、2003年)

〈感想、メモ〉

1.玄侑宗久著/龍の棲む家(文芸春秋、2010年)

現代小説。父親が徘徊するようになったことを機に、主人公は引っ越してきて父親と同居するようになった。父親がかつて通勤していた道を父子が歩く場面から物語は始まる。

とても面白かった。記憶、歳を重ねることなど、様々なことを考えさせられる。

2.陳舜臣著/太平天国 1(講談社、1990年)

洪秀全、楊秀清、蕭朝貴らが登場。先日、高木桂蔵の著作の『客家』(講談社)を読んだこともあり、客家である登場人物たちに関するエピソードを興味を持って読んだ。

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アリストテレスの『詩学』などを読了

金田村の武力終結の場面などを興味を持って読む。

ほか、西玲による洪秀全評(聞き手は連理文、場所は桂平)も興味深いと感じる。

3.松本佐保著/バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘(中央公論新社、2013年)

先日読んだ倉山満の著作『右も左も誤解だらけの立憲主義』(徳間書店)に、国家の軍隊の所有という話題が出てきた。「軍隊を持たないという合意のある国(本文中表現)」の例として、バチカンが挙げられていた。面白い論がそこで展開するのだが、著者倉山満がそこで紹介していたのが『バチカン近現代史』であった。

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倉山満著『右も左も誤解だらけの立憲主義』などを読了

独立国バチカンの外交・内政について解説される。フランス革命時の状態、イタリアとの対立や共産主義への対応など、興味深く読んだ。

また、以前読んだ吉村政和の『フリーメイソン』(講談社)の中でフリーメイソンを破門した教皇として触れられていたクレメンス12世はこの本でも紹介されていた。クレメンス12世はこの本でもフリーメイソンを破門したことで紹介される。

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森博嗣著『すべてがFになる』などを読了

また、やはり、ヨハネ・パウロ二世について書かれた部分が印象的であった。以下、印象に残った点。(一)彼の父親がハプスブルクの軍隊にいたことのある退役軍人であったということ。(二)彼がクラクフ近郊のヴァドヴィツェで生まれ、戦前にはクラクフのユダヤ人社会と親しかったといったこと。(三)1943年に聖職者になることを決意、当時非合法であった地下神学校に入ったということ。

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中山栄暁著『表現断章』などを読了

4.仙台文学館監修/ふるさと文学さんぽ 宮城(大和書房、2012年)

宮城にちなんだ文学が収録されたものである。島崎藤村、太宰治、いがらしみきお、魯迅、石川善助、松尾芭蕉、土井晩翠、ブルーノ・タウト、菊池寛らの文章が収められる。

石川善助の金華山についての詩が印象的だった。

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中山七里著『境界線』などを読了

5.ジョルジュ・シムノン著、長島良三訳/メグレと老外交官の死(グーテンベルク21、2015年)

以下は第一章の初めの文章を引用。

その年の五月には輝きと、風情と、幼年時代の思い出の匂いがあった。

引用終わり。メグレのシリーズの魅力はパリの風物の描写、メグレのパーソナリティ、登場人物のライフスタイルに関する部分、などである。

今作では、サン・ドミニク通りのアパルトマンで死んでいた老外交官の事件をメグレが探る。

6.五代ゆう著/グイン・サーガ第133巻 魔聖の迷宮(早川書房、2014年)

グイン・サーガ本伝133巻。黒太子スカール、ドライドン騎士団の副団長ブラン、フロリー、スーティ、パロ王立学問所の主任教授であるヨナ・ハンゼ、魔導士イェライシャゴーラ宰相カメロン、ゴーラ王太子ドリアンらが登場する。

「第一話 〈新しきミロク〉」、「第二話 彷徨」、「第三話 闇へ降りゆく」、「第四話 迷宮に潜むもの」、「あとがき」という構成。

「あとがき」では、著者五代ゆうの執筆の様子が語られており、興味深く感じられた。

7.ジョン・ル・カレ著、加賀山卓朗訳/ナイロビの蜂 上巻(集英社、2003年)

小説。以下、あらすじ。ケニアのナイロビの英国高等弁務官事務所に勤務する外交官ジャスティンの妻であるテッサが殺害される。ジャスティンは真相を解明すべく調査を開始する。あらすじ以上。。

非常に面白い。物語に引き込まれた。

(敬称略)

(『龍の棲む家』、『太平天国 1』、『バチカン近現代史』、『ふるさと文学さんぽ 宮城』、『ナイロビの蜂 上巻』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

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