西丸震哉著『食物崩壊』などを読了

令和4年7月20日、以下の4冊を読み終えた。

1.木村敏著/人と人とのあいだの病理(河合文化教育研究所、1991年)

2.イーサン・ホーク著、大久保ゆう訳/騎士の掟 勲士トマス・レミュエル・ホーク最期の手紙(パンローリング、2020年)

3.早乙女貢著/怒涛のごとく 菊池寛実の不屈の生涯(原書房、2008年)

4.西丸震哉著/食物崩壊 出そろった滅亡のシナリオ(講談社、2002年)

〈感想、メモ〉

1.木村敏著/人と人とのあいだの病理(河合文化教育研究所、1991年)

『人と人とのあいだの病理』は1986年10月に行われた講演が書籍化されたもの。精神科医である著者のミュンヘン留学時代のエピソードなど、興味深く読んだ。

著者は30歳の時に精神医学を学ぶためミュンヘンに行った。だが、ミュンヘンの方言は著者が日本で学んだドイツ語で対応できるものではなかったとのことで、一年は方言の勉強と神経内科的なものの学習をして過ごしたようだ。そして、方言が不得手であることもあって、あまりしゃべらないうつ病の患者を研究することになったという。

著者の精神病理学の背景には現象学があるようだ。タイトルからそれを読み取って手に取る読者も多いのではなかろうか。この「あいだ」という概念は面白い。今回この本を読んで、フッサールをはじめとした現象学についての授業を復習したくなった。

2.イーサン・ホーク著、大久保ゆう訳/騎士の掟 勲士トマス・レミュエル・ホーク最期の手紙(パンローリング、2020年)

『騎士の掟 勲士トマス・レミュエル・ホーク最期の手紙』は中世の騎士がその息子にあてた手紙という形式で書かれた本である。

3.早乙女貢著/怒涛のごとく 菊池寛実の不屈の生涯(原書房、2008年)

『怒涛のごとく 菊池寛実の不屈の生涯』は実業家菊池寛実の伝記。寛実が田中正造の演説会に行っているなどのエピソードが興味深かった。ほか、石橋湛山、片山潜についての記事も印象に残る。

〈関連記事 石橋湛山に関する井出孫六のコメントが収録されている斎藤貴男の著作『「明治礼賛」の正体』(岩波書店)を読んだ記録を含む記事〉

『「明治礼賛」の正体』などを読了

4.西丸震哉著/食物崩壊 出そろった滅亡のシナリオ(講談社、2002年)

『食物崩壊 出そろった滅亡のシナリオ』では食糧問題、環境問題などについて語られる。著者は食生態学者である。非常に面白かった。

(敬称略)

(上の四冊はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

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