井上新甫著『王陽明と儒教』などを読了

以下の11冊は2022年1月28日から30日までの3日間に読んだ本である。

1.井上新甫著/王陽明と儒教(致知出版社、2004年)

2.高木誠著/不整脈‐脈の乱れ、動悸が心配な人に(保健同人社、1994年)

3.岡松和夫著/少年飛行兵の絵(講談社、2005年)

4.柳沢厚生、柳沢亜紀子著/いま心臓病について知っておきたいこと(ディスカヴァー・トゥエンティワン、1996年)

5.山川みどり著/還暦過ぎたら遊ぼうよ(清流出版、2011年)

6.半田孝淳著、北沢房子聞き書き/和顔愛語を生きる(信濃毎日新聞社、2014年)

7.四角大輔/人生やらなくていいリスト(講談社、2018年)

8.岩阪恵子著/掘るひと(講談社 2006年)

9.ジョン・キム、吉本ばなな著/ジョンとばななの幸せって何ですか(光文社、2016年)

10.武井壮著/勝つ人 13人のアスリートたち(文藝春秋、2016年)

11.角田光代著/今、何してる?(朝日新聞社、2003年)

〈感想、メモ〉

1.井上新甫著/王陽明と儒教(致知出版社、2004年)

陽明学の入門書である。

陽明学で用いられる「心即理」や「良知」という語を説明するパートの中で、『易経』の「天行は健なり君子自彊息まず」という言葉を紹介している。また、この言葉の似合う日本の政治家として中曽根康弘を挙げている。

著者は昭和15年に群馬県に生まれる。

2.高木誠著/不整脈‐脈の乱れ、動悸が心配な人に(保健同人社、1994年)

一般読者に向けて書かれた不整脈についての書籍。症状が擬音を用いて表現してあるなど、全体に表現が平易である。

第11章においては薬物治療のほかに生活面で注意すべきことが様々挙げられているが、まず睡眠の重要性が述べられているのが印象的だった。

著者紹介によると、著者高木誠は1925年京都生まれ。

3.岡松和夫著/少年飛行兵の絵(講談社、2005年)

小説。主人公は私立の女子高校の講師。主人公とその生徒の父親との交流を軸にした群像劇。静かなトーンで描かれる。読後感が爽やかであった。

主人公がほうじ茶を飲む習慣があるというのが印象に残る。

4.柳沢厚生、柳沢亜紀子著/いま心臓病について知っておきたいこと(ディスカヴァー・トゥエンティワン、1996年)

心臓病に関する様々な研究が紹介される。性格と心臓病、運動とコレステロールなど。米ピッツバーグ大学医学部や米アルバート・アインシュタイン医科大学などの研究機関の報告が掲載される。

ピッツバーグ大学医学部の運動とHDLコレステロールとの関係についての研究が印象に残る。HDLコレステロールは肥満している人にあってはその値が低いとのことである。運動をすることでHDLコレステロールは長く進退にとどまるという。よって、本書では太っている人の動脈硬化予防には運動を推奨している。機序の話題は面白い。

ほか、ドイツのマールブルク大学医学部社会医学教室による7年間の追跡調査の記事も興味深い(対象は高血圧、高脂血症患者の416人のブルーカラーの平均41歳の男性)。その調査により、「継続的な怒り」や「仕事における競争心」などの特徴を有する人が心臓病になる率が高井ということが分かったのだという。

5.山川みどり著/還暦過ぎたら遊ぼうよ(清流出版、2011年)

エッセイ集。信州での暮らしなどが描かれる。テントウムシもどきの話や味噌づくりの話など面白かった。御代田の自然の描写も印象的である。冬が終わり、花が一斉に咲く様子など。コブシ、アンズ、レンギョウなどの名前が挙げられる。

専心寺、真楽寺についての文章も興味深く読んだ。

また、立原正秋や岡本太郎との思い出も興味深く読んだ。岡本太郎の作るカリフラワー料理の話は豪快であり、味を想像するのも楽しい。

6.半田孝淳著、北沢房子聞き書き/和顔愛語を生きる(信濃毎日新聞社、2014年)

第256世天台座主である著者(*参考ページ)の半生や交友録などが語られる。

〈参考ページ〉

ウィキペディア 天台座主

第3章では昭和39年の著者の欧米訪問について語られる。ローマではパウロ6世と会見している。

7.四角大輔/人生やらなくていいリスト(講談社、2018年)

人生論。著者のプロデューサー時代のエピソードも語られる。シアトルでの野球のエピソードが面白かった。

8.岩阪恵子著/掘るひと(講談社 2006年)

短編小説集。「新潮」、「群像」に掲載された9編の短編が収録される。

年齢の離れた男女(男性は58歳で、11歳の隔たり、とある)を描いた「タマゴヤキ」が面白かった。

9.ジョン・キム、吉本ばなな著/ジョンとばななの幸せって何ですか(光文社、2016年)

対談。著者たちの出会いから対話が始まる。喪失や感受性などについて語られる。喪失についてのパートが印象的だった。

10.武井壮著/勝つ人 13人のアスリートたち(文藝春秋、2016年)

大久保嘉人、琴奨菊、平井伯昌、上田桃子、川尻達也、深谷知広、伊東浩司、伊藤智仁、八重樫東、野村忠宏など、スポーツ選手、指導者へのインタビューが収められた書籍である。

野村忠宏との対談が印象的だった。中でも、天理大時代に練習も試合を意識したものにしたことで意味のある練習に変わったというエピソードは興味深かった。

11.角田光代著/今、何してる?(朝日新聞社、2003年)

恋愛論、書評などが収録される。数年ぶりに再読。今回も後半の書評を楽しんだ。

忌野清志郎の詩集についての文章が面白い。彼の詩をそれ単独で読むときと彼の音楽を聴く時とでは喚起されるものが異なるという部分が印象的だった。

(敬称略)

(上の十一冊はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

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