令和5年3月28日から30日までの期間に次の4冊を読み終えた。kindle版をiPhoneのVoiceOverで聴く。
1.フローベール著、白井浩司訳/ボヴァリー夫人(グーテンベルク21、2012年)
2.中松義郎著/打ち破る力(世界文化社、2015年)
3.酒井宏樹著/リセットする力 「自然と心が強くなる」考え方46(KADOKAWA、2018年)
4.大下英治著/内閣官房長官秘録(イースト・プレス、電子書籍版2015年発行)
〈感想、メモ〉
1.フローベール著、白井浩司訳/ボヴァリー夫人(グーテンベルク21、2012年)
令和5年3月の時点でkindle unlimitedで利用可能。
グルニエの『別離のとき』収録の「菩提樹のしたで」の語り手の女性がノルマンディー地方の作家としてその名を挙げていたフローベールの著した小説。
〈『別離のとき』を読んだ記録を含む記事〉
シャルルの妻であるエンマ・ボヴァリーの不倫の恋愛の顛末を描いた小説である。ストーリーはとても苦手な種類のものであったのだが、筆の運び、苦い類のものではあるが作品にちりばめられたユーモア(おそらくユーモアだったのだと思う)、など、読みごたえがあった。
2.中松義郎著/打ち破る力(世界文化社、2015年)
発明家中松義郎の「最終講義(本文中の表現)」を収めた本。数年ぶりに再読。
「第1章 ひらめかせる」、「第2章 ねばる」、「第3章 心得る」という構成。
第2章の中の「ユーモアは魔法のステッキ」で語られる吉田茂とのエピソードが印象的だった。ユーモアの実例としての吉田茂の言葉、その背景を興味を持って読んだ。
著者中松 義郎(なかまつ よしろう)は1928年東京生まれ。
3.酒井宏樹著/リセットする力 「自然と心が強くなる」考え方46(KADOKAWA、2018年)
刊行当時オリンピック・マルセイユでプレイしていたプロサッカー選手の酒井宏樹の著作。自らのメンタルは強くないと語る著者による考え方に関する本である。
ザッケローニ時代に内田篤人とポジション争いをした時のエピソードが印象に残る。
4.大下英治著/内閣官房長官秘録(イースト・プレス、電子書籍版2015年発行)
令和5年3月時点でkindle unlimitedで利用可能。
内閣官房長官の仕事について書かれた本。安倍政権時代の菅官房長官について多く書かれている。ほか、橋本政権時代の梶山官房長官、中曽根政権時代の後藤田官房長官など、様々なエピソードを読むことができ、おもしろかった。
序章では中曽根内閣での後藤田正晴官房長官の様々なエピソードが語られる。ここでの主人公は官房長官の後藤田であるが、中曽根康弘の人間像も読むことができ、興味深い。中曽根の首相時、また、議員の時の評価というのは賛否両論だが、この本では後藤田の仕事に焦点を合わせたときの中曽根像が現れており、面白いと思った。また、中曽根像ということで言えば、リクルート事件の際の中曽根康弘の周囲の評価なども興味深く読む(第四章の「「中曽根証人喚問」問題と竹下内閣総辞職」)。
〈中曽根康弘についての記述のある書籍を読んだ記録を含む記事〉
〈リクルート事件についての本を読んだ記録〉
朝日新聞横浜支局の『追跡リクルート疑惑 スクープ取材に燃えた121日』を読了
第一章から第三章までの三章、菅義偉について書かれている。菅は橋本内閣における梶山官房長官を理想としていたとのことで、梶山の思想、実務と菅義偉の仕事とを対比するように読むことは本書の魅力であろう。
本書のもう一つの魅力は、副官房長官にも光を当てているところである。例えば、小渕内閣での鈴木宗男副官房長官(官房長官は野中広務)、橋本内閣時の与謝野馨(官房長官は梶山静六)など。
著者大下 英治(おおした えいじ)は1944年広島県生まれ。
(敬称略)
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