賀来弓月著『フランス人は「老い」を愛する』を読了

令和4年8月26日、『60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する』を読み終えた。kindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。

著者の賀来弓月は外交官を長年務めていた人物。また、フランスでカトリック女子修道院の老人ホームでボランティアをしており、その中で多くの高齢者との交流を持った。

本書はフランス人の老いのとらえ方や老年のライフスタイルなどについて読むことができる。フランスの老いに関することわざ、作家や哲学者らの言葉が和文・仏文で豊富に収録されているのが本書の魅力の一つである。特に多く取り上げられているのはビクトル・ユーゴの言葉である。

意外だったのは、チェコの作家であるフランツ・カフカの言葉が紹介されていたことである(仏訳と和訳が収録、原文はドイツ語)。

ことわざや引用句だけでなく、著者のフランス人の友人のライフスタイルも描かれており、興味深く読んだ。特に、第2章の「美しい生活とは規則正しい生活」では、定年後にリヨンに移り住んだジョン・フォンタネルという男性の生活が紹介される。空間的にも整理整頓された、時間の飢えでも規則正しい秩序のある暮らし方である。確かに、そのような生活は、この本のタイトルにある「楽しむ」事ができるものだろうと思われる。生活のリズムの規則正しさや生活空間の秩序は、洋の東西を問わず、老年の生活には重要なものなのだろうなと創造しながら読んだ。

「第1章 老後を楽しみにするフランス人、老後に不安を覚える日本人」、「第2章 「孤独感」を和らげるフランスの高齢者たちの暮らし」、「第3章 心豊かに生きるフランス人の精神性(マンタリテ)」、「第4章 老いて家族の有り難さを見直す」、「第5章 老いの試練を受けながらも人生を最後まで楽しもう」という構成(「」内の各章タイトルは目次からの引用)。

賀来弓月著/60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する(文響社、電子書籍版製作2018年)

〈参考ページ〉

ウィキペディア 賀来弓月

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