城山三郎著『逆境を生きる』などを読了

令和5年7月8日から14日までの期間に次の七冊を読み終えた。3から5の三冊はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。

1.ピーター・ストラウブ著、近藤麻里子訳/ヘルファイア・クラブ 上巻(東京創元社、2006年)

2.ピーター・ストラウブ著、近藤麻里子訳/ヘルファイア・クラブ 下巻(東京創元社、2006年)

3.島田雅彦著/アルマジロ王(2017年)

4.モンテーニュ著、関根秀雄訳/モンテーニュ随想録 抄(グーテンベルク21、2015年)

5.荒木純夫著/1979ポーランド(2014年)

6.城山三郎著/逆境を生きる(新潮社、2010年)

7.喰代栄一著/なぜそれは起こるのか 過去に共鳴する現在 シェルドレイクの仮説をめぐって(サンマーク出版、1996年)

〈感想、メモ〉

1.ピーター・ストラウブ著、近藤麻里子訳/ヘルファイア・クラブ 上巻(東京創元社、2006年)

2.ピーター・ストラウブ著、近藤麻里子訳/ヘルファイア・クラブ 下巻(東京創元社、2006年)

『ヘルファイア・クラブ』は長編小説。主人公のノラ・チャンセルは、「間もなく行方知れずになる女(第1部より)」として登場する。この紹介の通りの運命をたどる主人公はかつて看護師であった。彼女が午前三時に悪夢から目覚め、以前に一緒に仕事をしていた神経外科医ハーウィックから「無期限で借りている不法所持の拳銃(本文中表現)」を手探りで確認する、というシーンから物語本編(第一部)が始まる。

主人公は暴力、侮辱、周囲の誤解など、あらゆる種類の、と言ってよいほどの災難、災厄に見舞われ続ける。

哲学者ルイ・アルチュセールの『未来は長く続く』の中の文章がエピグラフとして置かれている。

3.島田雅彦著/アルマジロ王(2017年)

『アルマジロ王』は短編小説集。「ユダヤ系青二才」、「砂漠のイルカ」、「優雅な野良犬」、「アルマジロ王」、「チェルノディルカ」、「断食少年・青春」、「ミイラになるまで」の七作品が収録される。

パリに留学し、ルドヴィク・ペンマンという人物のアパートに間借りし、後に「師弟関係のようなもの(本文中表現)」を結ぶことになる「ぼく」の一人称で物語が進行する「ユダヤ系青二才」が印象に残る。

4.モンテーニュ著、関根秀雄訳/モンテーニュ随想録 抄(グーテンベルク21、2015年)

この随想録の翻訳の「新版はしがき」の日付は1968年9月となっている。この「新版はしがき」では、「モンテーニュが打破しようとした当面最大の敵(新版はしがき内の表現)」が「不寛容の精神」であることが述べられている。当時の出来事として、チェコでの事件や学生運動が挙げられている。そこに訳者は不寛容の精神のあることを見ている。そのような状況に、訳者はモンテーニュの言葉の必要性を感じているようだ。

この本では、「自己の研究」、「徳・不徳」、「懐疑」、「読書」などのテーマで分類される。

冒頭にホラティウスの文章が引用される十一番目のパート、「読書」が印象に残る。

5.荒木純夫著/1979ポーランド(2014年)

東洋エンジニアリングに当時勤務していた著者は1979年からポーランドに駐在することになる。本書はその時の体験記である。

印象的な部分三点。(一)ヨハネ・パウロ二世の1979年のポーランド訪問の時の様子が描かれた部分(第二章第二節)。教皇の訪問に合わせ、通行の規制が行われるとともに、アルコール並びにペプシコーラが販売中止となったという。先の二つはわかるが、ペプシコーラについては謎だと著者は書く。教皇訪問時は真夏日であったとのことである。(二)著者たちがアウシュヴィッツを訪問したのちに立ち寄ったチェンストホヴァの様子(第五章第八節)。「黒い聖母」を見ることができたという短いエピソード。この訪問の後、著者はそこがヤスナ・グラの修道院であったと調べて知ったという。(三)日本から来た弟とともに訪れたクラクフについての著者の印象。クラクフは戦災を免れたこともあり、著者はこの都市に落ち着いた雰囲気を感じている

〈関連記事 1979年のヨハネ・パウロ二世についての記述のある『バチカン近現代史』(松本佐保著、中央公論社)を読んだ記録を含む記事〉

玄侑宗久著『龍の棲む家』などを読了

〈関連記事 クラクフについて触れている『スタニスラフ・レム『ソラリス』を読んだ記録を含む記事』〉

中山栄暁著『表現断章』などを読了

6.城山三郎著/逆境を生きる(新潮社、2010年)

1995年5月30日の福岡での講演がもととなっている書籍。「戦前の大不況を敢然と生き抜いた(「はじめに」内の表現)」三人の人物、御木本幸吉、広田弘毅、浜口雄幸について語られる。

〈関連記事 浜口雄幸内閣についての記述のある中村政則の著作『昭和恐慌』(岩波書店)を読んだ記録を含む記事〉

中村政則著『昭和恐慌』などを読了

広田弘毅の取材の際に大岡昇平の力添えがあったというエピソードが印象的であった。

7.喰代栄一著/なぜそれは起こるのか 過去に共鳴する現在 シェルドレイクの仮説をめぐって(サンマーク出版、1996年)

本書でその理論が紹介されるルパート・シェルドレイクは「(以下引用)過去に起こったことは、いつか再び起こる。(引用終わり)」ということの理由を解明した人物である(「前書き」)。

先日読んだ船井幸雄の『百匹目の猿』の中でこの『なぜそれは起こるのか』が紹介されていた。ルパート・シェルドレイクについての本であるとのことで、今回読んだ。

〈関連記事 『なぜそれは起こるのか』が紹介されていた『百匹目の猿』を読んだ記録を含む記事〉

アシモフの小説『宇宙の小石』などを読了

ラマルキズムに関する部分(第一章)、本物・偽物のヘブライ語を用いた学習の実験(第二章)、

本書の第四章は「過去に共鳴する人間」と題されている。この章にはフロイトやユングの考えも紹介される。「シンクロニシティー」についてのエピソードも複数収められる。この第四章では冒頭で心についての様々な論を紹介しているのだが、アリストテレスの霊魂に関する論も取り上げているのが印象的だった。

(敬称略)

(『ヘルファイア・クラブ』上下巻、『逆境を生きる』、『なぜそれは起こるのか』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

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