藤原伊織著『シリウスの道』などを読了

令和5年7月22日から同月末日までの期間に次の本を読み終えた。1、2,4、6,13の本はkindle版をiPhoneのボイスオーバーで聴いた。

1.ジョージ・R・R・マーティン著、酒井昭伸訳/氷と炎の歌⑤竜との舞踏〔上〕(早川書房、2016年電子版発行)

2.マルクス・アウレーリウス著、神谷美恵子訳/自省録(岩波書店)

3.藤原伊織著/シリウスの道(文藝春秋、2005年)

4.玉手義朗著/あの天才がなぜ転落 伝説の12人に学ぶ「失敗の本質」(日経BP社、2019年)

5.今野敏著/アクティブメジャーズ(集英社、2013年)

6.後房雄、藤岡喜美子著/稼ぐNPO(カナリアコミュニケーションズ、2018年電子書籍版発行)

7.江上剛著/レジスタンス(講談社、2005年)

8.今野敏著/アキハバラ(中央公論新社、2004年)

9.ビヤネール多美子著/スウェーデンの小さな庭から(オークラ出版、2004年)

10.夢枕獏著/キマイラ朧変(朝日ソノラマ、1992年)

11.今野敏著/赤い密約(徳間書店、2007年)

12.今野敏著/ST 化合 エピソード0(講談社、2014年)

13.柏野祐二著/海の教科書 波の不思議から海洋大循環まで(講談社、2016年)

〈感想、メモ〉

1.ジョージ・R・R・マーティン著、酒井昭伸訳/氷と炎の歌⑤竜との舞踏〔上〕(早川書房、2016年電子版発行)

長編ファンタジー小説。第12章の囚人〈リーク〉とラムジーとの会話の場面が印象的だった。苦痛により人間性を奪われた囚人の描写が細かい。

ほか、ミーリーンの女王であるデナーリス・ターガリエンの思考の描写が興味深かった。

2.マルクス・アウレーリウス著、神谷美恵子訳/自省録(岩波書店)

ローマ帝国皇帝が折々にギリシア語で書き留めた文章がまとめられたもの。再読であるが、今回は「(以下引用)したがってたとえいささか不快に思われることでも、起ってくることはなんでも歓迎せよ。(引用終わり)」という一文が記憶に残る。第五巻の八の中の文章である。人生での「いささか不快に思われること」はギリシアの医術の神であるアスクレーピオスの処方の中にあるであろう苦いものに例えられる。

ほか、「(以下引用)なによりもまず、いらいらするな。(引用終わり)」という一文で始まる第八巻の五も印象的だった。ハードリアーヌスらの名が挙げられ、彼らのようにいなくなる、「どこにもいなくなる(本文中表現)」野だからとこの文章は続く。面白いと思う。

3.藤原伊織著/シリウスの道(文藝春秋、2005年)

広告業界が舞台の長編小説。「週刊文春」に連載されていた作品であるとのこと。

東邦広告営業副部長辰村祐介、部長立花らは予算18億のプロジェクトの競合に臨むこととなる。辰村は大阪で少年時代を送っていたのだが、そこで友人と秘密を共有することになる。プレゼンに向け動く現在と少年時代の過去のストーリーが語られ、小説が進行する。

文章の巧みさによるのか、比較的長い小説だと思うが、小説の世界に引き込まれ、短期間で読み終える。

4.玉手義朗著/あの天才がなぜ転落 伝説の12人に学ぶ「失敗の本質」(日経BP社、2019年)

この本では、歴史上の人物の失敗が挙げられ、そこから「失敗の本質」が何かという考察がなされる。各chapterでは、転落した天才から、「競争戦略」、「マネジメントの法則」、「マネーのトリセツ」、「幸せの本質」を学ぶ。

登場する天才は、ニコラ・テスラ、ホレス・ウェルズ、ジョン・アウグスト・サッター、金子直吉、坪内寿夫、山城屋和助、ジョン・ロー、岩本栄之助、渡辺治右衛門、松本重太郎、薩摩治郎八、ポール・ゴーギャン。

〈関連記事 金子直吉についても記されている鈴木治雄の著作である『実業家の文章』を読んだ記録を含む記事〉

原田伊織著『明治維新という過ち』などを読了

5.今野敏著/アクティブメジャーズ(集英社、2013年)

長編小説。シリーズの第四作。

(以下引用)ゼロというのは、警察庁警備局警備企画課の中にある情報分析室だ。(引用終わり)

ゼロの研修を受け、研修が明けて初の出勤となる朝、倉島達夫はテレビで東邦新報の編集局次長である津久見茂の死亡の報道を聞く。聞きながら彼は、この報道の周辺の状況について考えを巡らせる。登庁後、研修終了の報告を済ませた彼は、公総課長が読んでいると告げられる。

面白かった。中でも、登場人物たちの「情報」の扱い方が興味深く感じられた。

6.後房雄、藤岡喜美子著/稼ぐNPO(カナリアコミュニケーションズ、2018年電子書籍版発行)

「はじめに」には次のように述べられる。(以下引用)「NPOは稼ぐべきだ」、というのが本書の中心的メッセージです。(引用終わり)

事例が豊富に紹介されていて、勉強になる。

また、「第四章 NPOはどのように稼ぐのか」のなかで、収入の分類がなされるのだが、米国のNPO研究者であるレスター・サラモンによる民間財源に頼ることは、公的財源に依存することと同様にNPOの独立性にとっては危険であるという指摘が紹介されており、興味深く感じられた。

7.江上剛著/レジスタンス(講談社、2005年)

短編小説集。「頭取無残」、「役員寸前」、「実直な男」、「征服と成果主義」、「いつかの、本番のために」、「機械の声」の6作が収められる。

銀行業務の闇を描きながらもラストに一種の光明を感じることのできる「機械の声」が印象に残る。

著者江上剛は、著者紹介によると、1954年兵庫県生まれ。旧第一勧業銀行(『レジスタンス』刊行当時のみずほ銀行)に勤務していたとのことである。

8.今野敏著/アキハバラ(中央公論新社、2004年)

秋葉原が舞台となる長編小説。冒頭登場するのは、イラン航空のスチュワーデスであり、情報部の職員でもあるファティマという女性である。このほかにも、この小説には国際色豊かな人々が登場する。

物語が始まってしばらくは、ブラックユーモアのコメディだろうかと思っていたところ、徐々にストーリーが加速し、小説の世界に引き込まれた。読後感も良く、この作家への「安心して読むことができる」という信頼が増した。。

9.ビヤネール多美子著/スウェーデンの小さな庭から(オークラ出版、2004年)

この本では、1964年に初めてスウェーデンの地を踏んだという著者により、その半生が語られる。

印象的だったエピソード三点。(一)川端康成とのエピソード。川端の1968年度ノーベル賞受賞時に「付き人兼通訳」を勤めた話が語られる。(二)トーベ・ヤンソンのエピソード。トーベ・ヤンソン来日時に行われた講演会での彼女のスウェーデン語についての記述が印象的だった。(三)児童文学作家のアストリッド・リンドグレーンのインタビュー。リンドグレーンの生い立ちが印象に残る。

〈関連記事 リンドグレーンの『エーミールとクリスマスのごちそう』を読んだ記録を含む記事〉

エスター・ヒックス、ジェリー・ヒックス著『サラとソロモン』を読了

10.夢枕獏著/キマイラ朧変(朝日ソノラマ、1992年)

シリーズの第二作である。このシリーズは格闘場面がブログ執筆者にとっては魅力であるが、今作では荒久海岸での九十九三蔵の格闘シーンが印象的だった。

11.今野敏著/赤い密約(徳間書店、2007年)

格闘技についての描写が充実している作品。

主人公仙堂辰雄がモスクワのテレビ局でエリツィン派と対立する議会派の乱入に遭遇する場面から小説が始まる。

他の今野敏作品もそうだが、この作品でも格闘シーンの描写が明瞭で引き込まれる。

12.今野敏著/ST 化合 エピソード0(講談社、2014年)

1990年6月14日の未明、警視庁板橋署管内で殺人事件という通報があったとの無線が流れ、本庁捜査一課の菊川吾郎が現場の住所をメモする場面から小説が始まる。

組織での仕事の様子が緊張感をもって描かれる。今野敏作品はこういった組織・チームを描いたものも非常に面白い。

〈関連記事 本作の登場人物(三枝俊郎ら)のその後の姿も描かれる『ST警視庁科学特捜班 黒いモスクワ』(今野敏著、講談社)を読んだ記録を含む記事〉

舛添要一著『舛添メモ』などを読了

13.柏野祐二著/海の教科書 波の不思議から海洋大循環まで(講談社、2016年)

海洋学についての書籍。海洋学の歴史が解説される第二章が興味深かった。

(敬称略)

(『シリウスの道』、『アクティブメジャーズ』、『レジスタンス』、『アキハバラ』、『スウェーデンの小さな庭から』、『キマイラ朧変』、『赤い密約』、『ST 化合 エピソード0』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

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