ロジェ・グルニエの短編集『別離のとき』などを読了

次の本を読み終えた。

1.ロジェ・グルニエ著、山田稔訳/別離のとき(みすず書房、2007年)

2.牧秀彦著/上様出陣!(徳間書店、2012年)

〈感想、メモ〉

1.ロジェ・グルニエ著、山田稔訳/別離のとき

ロジェ・グルニエの短編小説集。「別離の時代」、「あずまや」、「モンマルトルの北」、「菩提樹のしたで」、「オスカルの娘」、「お生憎さま」、「シンメトリー」、「その日、ピアフとコクトーが………」、「一時間の縫合」、「秘密」の10作が収められる。

「菩提樹のしたで」、「その日、ピアフとコクトーが………」、「秘密」の三作品が特に面白かった。

「菩提樹のしたで」の語り手は酪農業を営む家庭の娘。彼女は1939年の生まれ。1945年の初めのころに、語り手の父親の営む農場に東フリースラント出身のドイツ人捕虜がやってくる。東フリースラントは牧畜の盛んな土地であり、語り手の父親はそのような場所の出身で戦前は家畜の世話をしていたという捕虜が家に来るのを喜んだ、と語りては語る。その捕虜リュッケルトは「(以下引用)品評会用の牛が専門だった(引用終わり)」と自慢する。語り手がそれを「(以下引用)さしずめ搾乳におけるヴィルヘルム・ケンプ、アルフレート・ブレンデルといったところでしょうか(引用終わり)」と例えているのを面白く感じた。

エディット・ピアフとジャン・コクトーの死を背景とした「その日、ピアフとコクトーが………」の語り手の職業はリライター。1963年10月11日の朝に語り手が電話で起こされる場面から物語が始まる。

「秘密」は沈黙をその人生哲学としてきた男を描いた作品。主人公ジェルマン・ドバは勉強のできる寡黙な少年であった。バカロレア合格時、自らは文学部を希望していたのにもかかわらず、親が勝手に法学部に登録した、というエピソードが描かれており、ブログ執筆者は主人公の家庭環境に何となく注意しながら読んだ。

訳者山田稔によるあとがきも収録されており、そこでは『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』掲載のグルニエのインタビューが紹介される。

著者ロジェ・グルニエは1919年にノルマンディー地方のカーンで生まれる。訳者山田稔は1930年福岡県の門司に生まれる。

2.牧秀彦著/上様出陣!

笑いの要素を入れた時代小説を標榜して書かれたものとのことである。気楽に読むことができてよかった。主人公は徳川家斉。ほか、鶴屋南北、葛飾北斎などが登場する。

著者牧秀彦は1969年東京都生まれ。

(敬称略)

(上の二冊はサピエ図書館の点字データを用いました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

(『別離のとき』収録の各作品のタイトルの漢字表記は以下のページを参考にさせていただきました。)

みすず書房の本

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